ネハンの件
私にとって一葉こそ信仰そのものである。
それがいま、教団の中で粗製乱造されている。
真奈が信徒に命じた整形。あれは“神の御姿”ではない。
単なる偶像崇拝の暴走だ。
私にとって、あれは穢れでしかない。
順子のときもそうだった。
偽物に一時的にでも縋った私の過ちでもある。
君からの報告で、対象者は全員「輪涅祭」で本堂に集まると聞いている。
これ以上の機会はない。
全てを終わらせろ。
詳細は任せる。
爆破、放火、事故、形式はどうでもいい。
必要なのは、“完遂”だ。
報道対応については、私からも手を回しておく。
「信仰の暴走が引き起こした、カルトの集団自殺」――
その方向で処理すれば、メディアは面白可笑しく扱うだろう。
私はこれを“粛清”とは思っていない。
歪んだ形を、かつての純粋な状態への浄化だ。
国木田
